
ずっと目障りだった2センチほどの石を今日こそどけようと、地面にスコップをたて、さらにスコップを打ちかえし、「てこの原理」を応用して奥歯を噛み、唸り、つるはしの導入に舵を切りかえ、砂利を蹴散らし、土をそぎ、鼻水をすすりあげ、荒れた呼吸の切れ切れに、つぶやきました。
「こりゃ、ひょっとして、キョガンかも」
ウイスキーグラスの中のぶっかいた氷塊が浮かんできます。
このまま虚心坦懐、巨岩掘り出しにたち向かい、快感というご褒美を得るか。
それとも、最初から目障りな石など無かったことにして、土を戻し颯爽と立ち去るか。
自尊心をかけた予期せぬ決断を迫られ、おもいきり思考が停止する孫さんなのだった。
あたりはすっかり夕暮れです。