1年ぶりにターチンと会った。この男っぷりです。生きてる本人とは年に1回向き合えば十分だ。と、あなただって思うでしょ?
メシでも喰いませんか?と唐突に(メールで)誘って来たのはターチンからでした。それもメールの件名のところに近況等も折り込んだ長い件名で、誘って来た。このヌケサクメールこそターチンの証です。ナリスマシではありません。
「あの世って、あるんですかね? 死んだらどこ行っちゃうんでしょうね? へんなとこ連れて行かれたらたまらないし・・・、初体験・・・でしたっけ?・・・あの世にいったけど痛い思いして帰って来たとかいう人・・・いますよね、天井から死んでる自分を眺めたとか・・・最近気になるんスよ」
ターチン、正直言ってわかんねーよ。死んだことネーからさ。死にそうになった経験は3回あるけど、痛くはなかったし・・・あ、初体験じゃなくて、臨死体験だろ、それって。ま、いいや。
「ここの唐揚げは旨くなっすね。冷凍モんですよこれ。酒飲まないの?あー飲めないの・・・征之介呼びます?呼びましょうよ。いやいや、死ぬのが怖いとかじゃなくてね、今流行ってるじゃないすか、死後の世界がどーのとか、生まれ変わりがどーのとか、テレビなんかでさかんにやってるでしょ? え?テレビないの?ないのかー・・・、本とか出てるじゃないですか、あの世関係の本、読みますよー、本。本でしょ? 女房が買って来ますもん、毎週2冊」
ターチン、正直言ってわかんねーよ。死んだことネーからさ。ハッキリしてるのは、あの世のハナシって、どれもこれも、どいつもこいつも、この世でハナシてるってことかな。この世であの世のハナシされてもな、この世で創作したハナシだからなぁ・・・タイムマシン乗ったんだぜ!みたいなお伽チックな物語だな。ツッコミどころ満載なんだ。カッパブックスなんだよ。カッパブックス知らねーか・・・ま、いいや。
「田園調布に引越っていったでしょ? 信じてました? ほら、見栄ってヤツです。中尾ミエ・・・ははは。ホントはね、隣町の石川町ってとこなんですよ。ははは。脚を伸ばしてつま先いれれば田園調布って環境。」
そうだろうな。
「この間、阿川泰子のライブ観に行ったんすよ。ジャズ! ジャズいいなぁ。ああいうのヤリタイ。大人の音楽。クラプトン、ビートルズは演るもんじゃなく、聴くもんですね。45年かかったけどわかりましたよ。これからは大人の音楽!だけど、ヤスコ(もうヤスコかい!)のバックでギター弾いてるヤツはハタチくらいのガキなんですよ!ガキが大人の音楽、ジャズかよ!ガックりきちゃった、ホント。俺の音楽人生はナンだったんだ! 俺もジャズやってるべきであった!と。だけどね、ここだけの話ジャズバンドやろうと思ってるんですよ、あたし。メンバー集めてね、枯葉かなんか、スタンダード曲をしんみりとオネーさんに歌わせて、バックであたしが大人のギターを弾くと・・・、どうでしょ、クゥーでしょ!」
どうでしょったって、ターチン、正直言って、メンバー集めてミーティングしたら、君のポジションはないと思うよ。だって、君の知ってるスタンダードは「枯葉」だけでしょーが。九九ばっちりだから微分積分を解きます・・・みたいなもんだろ? 呆れられるぜ。ま、ターチンらしくてこころ安まるお話だがな。
ん?、またあの世のハナシか? あの世のことなんかどうだっていいじゃん、死んだら考えればいいじゃん。天井から眺めたり、川渡ったり、徳川家康になったり、ウスバカゲロウなって俺んちの三和土に棲みついたりすればいいよ。星を見たらターチンどうしてっかな?とかカメムシ見つけたらターチンだと思って殺さないでおくよ。ジャニーズ事務所の新しいユニットが出て来たら、右から2人めのイケメンはターチンの生まれ変わりだと(むちゃしてでも)思い込むよ。
でもさ、1966年11月だったか?東小田小学校の校庭でサッカーに興じる4年生のターチンとブランコに座ってギターを弾く美少年中学生のワタクシが出会い、付かず離れず今日まできて、10月10日が東京オリムピック開催日であると同時に君の結婚記念日と言い当てるニンゲンがこの世にいる。あの世の心配より、この世で乾杯だろー。それでいいじゃんと思うよワタクシは。どーよ、ターチン。