朝日新聞の週末版に特異なお悩み相談コーナーがある。
複数いる回答者の中で、車谷長吉はよい。くーちゃん(車谷だからそう呼ばれているらしい)は「人間というもんはどうしようもなく不幸である」というスタンスで回答してくる。
恋愛だろうが、親子関係だろうが、金銭問題だろうが「人間は救いようがない生き物」という答えが基盤として組み込まれている回答は、一瞬だが俯瞰から己を観察する余裕を与える。
そんなくーちゃんの文庫を読んだ。
面白い。実に面白い。「不幸で救いようのない人間」は、早い話が自尊心、虚栄心、劣等感の三大基盤の上に立っている。
自尊心もなく、見栄もはらず、ヒガミ根性のないやつ、そぶりもみせないやつなんざぁ、あーた、つまらんもんよ。
考えてみれば、小説に出てくる人々はたいてい自尊心、虚栄心、劣等感がこんがらがってるやつですわ。
つづく